ガンバレ、男子!
「ちひろ…良かったの?」
「ん?一緒に行くこと?うーん。私もどうするのが良かったか、分からないんだけど…。でも、あんなに一生懸命な子、なかなかいないし…とっさに言っちゃった。」
「まあ、今回だけだし、大丈夫だと思うけど。でも他の子にバレないようにしないとね…あとであの子が嫌な目に会わないように…」
「やっぱり優雅は優しいねっ!大丈夫、何かされたりしないようにはするからさ!」
私たちは、しばらく無言のまま歩いていた。
私は、今の自分の行動は、果たして正しかったのかどうか、考えていた。
手紙やプレゼントをくれる子はたくさんいたけど、直接デート?に誘われたのは初めてだった。
自宅まで自分で手紙を持って来た子も、今までいなかった。
自分のために、そこまで一生懸命になってくれることに、ちょっと感動していた。
それに、あの子は、自分の気持ちはただの憧れだってわかっているようだった。恋愛感情ではないとわかっているのだ。
それでも、その気持ちの記念にか、一緒に出かけてみたいと思ったのかな…。
女の子ってすごいなあ…。
相手が女の子にしろ男の子にしろ、そんな一生懸命な気持ちになった経験がない私には、分からないことだらけだった。
なんだか、自分が一番子供に思えてならなかった。
いつか私も、誰かを好きになったりするんだろうか…。
私が考えている間、優雅もずっと黙ったまま隣を歩いていた。が、校舎に入ろうとしたとき、思い出したように、言った。
「ねぇ…あの子…小林さん?なんで、私たちが夏祭りに行くって知ってたのかしら…」
優雅と私が顔を見合わせた瞬間、チャイムがなった。私たちは、急いで教室へ走った。