ガンバレ、男子!

「ああっ…!」

思い出した!

「変態!?」

思わず、口に出してしまった。忘れてたくらいだから、根に持っているとかは全く無かったし、むしろ謝らなくちゃと思っていたのに…とっさに出た言葉は…

「変態」

だった。慌てて口を塞いだが、もう遅かった。背の高い男の子は、明らかに傷ついた顔をして、視線を逸らした。

「あ…」

なんで今まで、すっかり忘れていたんだろう。…というか、なんで、変態なんて言ったかな…私。

「…ちひろ!もう降りるよ!」

優雅が袖を引っ張っていた。

私は、

「ごめんなさいっ!」

とだけ叫んで、電車を降りた。降りがけに、視線が合ったから、多分聞こえていたんだと思う。最後に、ちょっと笑顔になったのを見た気がした。

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