ガンバレ、男子!
「けいたー!りくー!」
遠くから尚登の声が聞こえた。俺は周りを見渡すと、声がしたほうに手を振った。
「見つけた!陸は背が高いし、浴衣だし、見つけやすいね。男の浴衣って実は結構珍しくない?」
尚登はそう言うが、最近男の浴衣も増えてきていると思う。こんな祭りでも、ちらほらと見掛けるようになった。
俺は、母親の趣味で小さい頃から着せられていたし、何より着心地が良くてよく着る。祭りの時だけでなく、実は普段も結構着ているくらいだ。
「そうか?俺、浴衣とか着物とかって、結構好きなんだよね・・・。」
「僕はあまり浴衣は似合わないけど、ヨシも似合いそうだよね。」
尚登が残念そうに言った。
「俺か?うーん。俺はいいよ。浴衣といえば、今日は愛奈が着ていったぞ。」
「えっ?!??愛奈ちゃん?・・・・浴衣、可愛いだろうなあ・・・。」
「・・・・当然だ。俺の妹だからな。」
ヨシはギロリと尚登を睨んだが、尚登は気にもしていないようだ。最近は、こんな尚登の様子にヨシも諦めたのか、怒らなくなってきた。
俺も頑張らなくちゃな・・・。
人の恋をどうこう言っている場合ではなかった。