ガンバレ、男子!
こんな偶然ってあるんだろうか?あの男の子と、愛奈のお兄ちゃんが親友同士だったなんて・・・。
山本、陸、って言う名前なんだ・・・。
私は驚きの余り、声も出なかった。彼は、ちょっと恥ずかしそうにしながら、やっぱりあの真っ直ぐな視線で、私のことを見ていた。
「・・・ちひろさま、ご存じなんですか?」
愛奈が不思議そうにこっちを見ていた。私はハッと我に返り、慌てて自己紹介をした。
「ええと、春日ちひろです。
こちらは、芳川優雅、笠原弥佳、私の親友です。
私たちは3人とも愛奈ちゃんの先輩で、城川に通ってます。高一です。
それから・・・・山本君と中嶋君には、電車で会ったことがありますよね。山本君には2回、です・・・よね?
・・・あの時は、変態なんて言っちゃって、本当に失礼しました。ごめんなさいっ。」
「・・あの、もう、気にしてないんで・・・頭を上げてよ・・・。」
顔をあげると、山本君は、困ったような顔をして、頭を掻いていた。大きな体をすくめるようにして、赤い顔をしている。私は、その様子を、
ちょっと、可愛いな。
なんて思ってしまった。弟でもない男の子に対して、可愛いだなんて思ったのは初めてだった。