ガンバレ、男子!

結局、ヨーヨー釣りは、私と啓太、意外にも山本君がやるといい、3人で10個も取った。一番うまかったのは、山本君で、半分は彼が取った。

「山本くん、すごい!うまいねえ!」

私は心底感心して言った。私は頑張っても2個しか取れなかったのだ。どうやったら5個も取れるのか、さっぱりわからない。

「ありがと。・・・・・で、いいから。」

「え?」

なんて言ったのか、聞こえなかった。

「陸、でいいから・・」

空を見上げながら、山本君、いや、陸は言った。上を向いていたから、よくわからなかったけど、顔が赤かったかもしれない。

「了解。じゃあ、私もちひろか、ちいちゃんで。で、陸君。ヨーヨー、もういっこ、もらっていい?」

陸は驚いたような顔をして私を見、その後、満面の笑みを浮かべた。初めて見た、ちゃんとした笑顔だった。

「もちろん!いっこと言わず、全部あげるよ。ち、、ちいちゃ・・・ん。」

最後は声が小さすぎて聞こえないくらいだった。不思議に思って、陸を見上げたら、耳まで真っ赤だった。

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