ガンバレ、男子!

陸くん、って呼ばれた・・・!で、ちいちゃん、って呼んだ・・!

俺は幸せを噛みしめていた。

陸くん、て呼ばれた時、嬉しくて心臓が止まったかと思った。啓太に先を越されてしまったが、俺も、

「陸くん、ちいちゃん」

の仲になったのだ。これだけのことだったけど、俺は嬉しくてたまらなかった。

ニヤけてしまいそうになる顔を、無理やり引き締めて、ちひろと並んで歩いていた。ちひろは、不思議そうな顔をして俺を見ていた。

「大丈夫?陸くん?」

くうう、また呼ばれた。嬉しいけど、心臓に悪い。それに、その薄い色の瞳で見つめないで欲しい・・・。本当に、心臓が持たない・・・。

「だ、大丈夫だよ。でも、ヨーヨー、たくさんあるから、持てないよね?俺、持ってるから。帰りに渡すよ。」

「ありがとう!あのね、私、弟が3人もいるんだよね。一人1個ないと、喧嘩になるの。ごめんね?せっかく陸くんが取ったのに。あ、でも、1個でいいからね?」

ちひろは申し訳なさそうに言った。

そんな、ヨーヨーひとつくらいで!可愛いなー。

とは言えず、口から出たのは、

「全然!ホント、みんな持って帰ってくれていいよ!」

なんていう、普通のセリフだった。

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