ガンバレ、男子!

久々の盆踊りは、結構面白かった。

田村くんと弥佳は最初から見学を決め込んでいて、近くのベンチで綿飴を食べながら、私たちを見て笑っていた。

ほかの人たちは、最初は適当に踊っていたけど、踊り疲れて次々脱落していった。

私は、啓太のめちゃくちゃな踊りに大笑いをしながら、一緒に踊っていた。でも、途中で、下駄の鼻緒が痛くなってきたから、ベンチに戻ることにした。

ちょうど陸が一人で座っているのが見えたので、隣へ座った。

「はー!疲れた!・・・笑い疲れちゃった!啓太くんって面白いねえ。」

まだ踊り続けている啓太を見ながら、そう言うと、陸はしばらく黙っていたけど、低く響く声でこう言った。

「・・・うん、あいつは俺たちの中でもムードメーカーなんだ。啓太は小さいころからああだったよ。」

「あれ、幼馴染なの?」

「うん。1歳からずっと一緒だよ。保育園も、小学校も、中高も。腐れ縁だな。」

「へええ!すごいね、そこまでの仲って、珍しいよねえ!」

私にも親友はいるけど、そんな物心つく前からの友達はいなかった。それに、陸たちを見ていると、お互いに認め合っている感じがする。割って入れないような、男同士の絆があるのかもしれない。感心して、陸のことをじっと見たら、陸はなんだか慌てた様子で、

「えっ!?そこまでの仲、ってほどじゃ・・・。普通だよ、普通!普通の友達同士だよ!」

と、必死で弁解?していた。

なんだか面白い人だなあ。

どうしてそんなに慌てるのか分からなかったけど、その必死な様子が、やっぱりちょっと、可愛いなあ、と思った。

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