ガンバレ、男子!

「陸くん?どうしたの?大丈夫?」

陸が、額に手を乗せて上を向いたまま、動かなくなっちゃったので、私は心配になって聞いてみた。

「だ、大丈夫、大丈夫!ち、ちぃ…ちゃんこそ、足は?」

陸くんは、なかなか名前を呼ぶのに慣れないらしい。゛ちぃちゃん゛のところだけ、やけに声が小さい。もともと声が低いので、ほとんど聞こえないくらいだ。

照れ屋さんなんだろうな。

そう思いながら、足を触ってみた。折角下駄を直してもらったけど、また履けるとは思えなかった。傷を触るだけで、すごく痛い。

「うん…何か、サンダルでも買うかなあ…。」

そう言うと、陸はこんなことを言った。

「もし嫌じゃなかったら…テーピングしようか?しばらくは歩けると思うよ。」

< 86 / 269 >

この作品をシェア

pagetop