ガンバレ、男子!
「いた…」
誰かに思い切り足を踏まれて、あまりの痛さに人込みの中にしゃがんでしまった。
「ちぃちゃん?!大丈夫?ちひろちゃん?」
陸が呼ぶ声が聞こえた。はっきり名前を呼んでくれたの、初めてだな、なんて、頭では呑気な事を思いながら、でも立てずにいた。
「痛っ…。陸くーん!」
それでも陸に見つけてもらえるよう、声を張り上げた。
「…いた!…良かった…。」
そんな声がして、目の前に大きな下駄が現れた。見上げると、心底安心したような顔で、陸が立っていた。
「転んだ?大丈夫?」
「うん、足、踏まれちゃったみたい…」
踏まれたところを見ると、結構血が出ていた。陸も怪我を見て、
「うわ…ひどく踏まれたね…。大丈夫?立てる?座れるところに行こう」
そう言うと、体を支えて立たせてくれた。