君の声が聞こえる
第四章すれ違う想い
雅巳の気持ち
(by・良枝)
雅巳が加藤君を避けていた。
雅巳の父親、塩谷さんのお葬式に出てからだった。
加藤君の誘いを一切受け付けようとしなくなったのだ。加藤君自身、それが何故なのか分からないようだった。もちろん、雅巳は私に何も言って来ない。
私と言えば、その状況を複雑な気持ちで見ている事しか出来なかった。
この半年間は三人でいることが多かったせいか、雅巳と二人だけでいる、この状況に違和感を覚えてきていた。
もちろん、そんな事を口にしたりはしない。
雅巳の表情は驚くほど変わらないから、そんな事を口にするのも気が引けた。これは雅巳と加藤君、二人の問題で私が口に出す事じゃない、という事も分かっている。
二人が気まずいまま、私達は大学に入って二度目の夏休みを迎えた。
本来、学生にとって、夏休みは楽しい事がたくさんある休みのはずだった。学校に行かなくてすむし、夏の短期のバイトは収入がいいからお金も貯まる。
しかし、雅巳と加藤君にとってこの夏休みはいいものとは言えないかもしれない。むしろ、二人の時間と距離を隔てるもののように私には思えた。
(by・良枝)
雅巳が加藤君を避けていた。
雅巳の父親、塩谷さんのお葬式に出てからだった。
加藤君の誘いを一切受け付けようとしなくなったのだ。加藤君自身、それが何故なのか分からないようだった。もちろん、雅巳は私に何も言って来ない。
私と言えば、その状況を複雑な気持ちで見ている事しか出来なかった。
この半年間は三人でいることが多かったせいか、雅巳と二人だけでいる、この状況に違和感を覚えてきていた。
もちろん、そんな事を口にしたりはしない。
雅巳の表情は驚くほど変わらないから、そんな事を口にするのも気が引けた。これは雅巳と加藤君、二人の問題で私が口に出す事じゃない、という事も分かっている。
二人が気まずいまま、私達は大学に入って二度目の夏休みを迎えた。
本来、学生にとって、夏休みは楽しい事がたくさんある休みのはずだった。学校に行かなくてすむし、夏の短期のバイトは収入がいいからお金も貯まる。
しかし、雅巳と加藤君にとってこの夏休みはいいものとは言えないかもしれない。むしろ、二人の時間と距離を隔てるもののように私には思えた。