君の声が聞こえる
第一章積み重なる想い
私の親友
(by・良枝)
私がこの大学を決めたのは、雅巳がいるから。雅巳だったらもっと上の大学を目指せる事を私は知っていた。でも彼女がそうしなかったのは、彼女が一人暮らしをする事は、とても危険だったから。そして、雅巳のお母さんの願いでもあったから。
雅巳は母子家庭だ。詳しい事は知らないが、彼女のお父さんは、若くして亡くなったらしい。そのためだろうか?雅巳のお母さんは雅巳をガラス細工のように大切に扱っている。彼女の心臓の事を考えれば、それも当たり前かもしれないが。
そんなお母さんを気遣ってか、彼女は国立の大学病院が併設された地元の大学に進学を決めた。
もし学校で何かあっても大丈夫よ、という彼女のお母さんへのメッセージなのだろう。
私と雅巳との付き合いは、早いもので、八年目に突入しようとしていた。
「雅巳~!」
あの背中は絶対に雅巳だ、という確信を持って私は雅巳に声を掛けた。
教室の後ろの方にある席に座っていた雅巳の席に近づくと、雅巳はすぐに私に気がついて手を上げた。
「良枝!」
にっこりと私に笑顔を向けて、雅巳は自分の左隣の空いた席の椅子を私の為に引いてくれる。
(by・良枝)
私がこの大学を決めたのは、雅巳がいるから。雅巳だったらもっと上の大学を目指せる事を私は知っていた。でも彼女がそうしなかったのは、彼女が一人暮らしをする事は、とても危険だったから。そして、雅巳のお母さんの願いでもあったから。
雅巳は母子家庭だ。詳しい事は知らないが、彼女のお父さんは、若くして亡くなったらしい。そのためだろうか?雅巳のお母さんは雅巳をガラス細工のように大切に扱っている。彼女の心臓の事を考えれば、それも当たり前かもしれないが。
そんなお母さんを気遣ってか、彼女は国立の大学病院が併設された地元の大学に進学を決めた。
もし学校で何かあっても大丈夫よ、という彼女のお母さんへのメッセージなのだろう。
私と雅巳との付き合いは、早いもので、八年目に突入しようとしていた。
「雅巳~!」
あの背中は絶対に雅巳だ、という確信を持って私は雅巳に声を掛けた。
教室の後ろの方にある席に座っていた雅巳の席に近づくと、雅巳はすぐに私に気がついて手を上げた。
「良枝!」
にっこりと私に笑顔を向けて、雅巳は自分の左隣の空いた席の椅子を私の為に引いてくれる。