君の声が聞こえる
第六章喪失
約束

(by・良枝)

美しい花嫁さんだった。

私はこんなに綺麗な花嫁さんを見た事がなかったし、これから先もう二度と見る事は出来ないだろう。

花嫁の名前は加藤雅巳。

私の親友は加藤君と結婚して姓が変わった。

加藤君のたっての願いで、雅巳は加藤君の知り合いの神父様が働いている教会で結婚式を挙げた。とは言っても、身内だけで行われる結婚式にはほとんど誰も来ていない。

参加したのは雅巳側では雅巳のお母さんとおじいちゃん、おばあちゃん、そして私。

加藤君側では結婚式の証人となってくれる幼馴染みだという友人と大学での男友達の数人だった。

参加した人数は少なかったけれど、家庭的で暖かい結婚式だった。

神父様の計らいで、合唱隊や教会にあるパイプオルガンを演奏してくれる奏者も用意してもらったので、なかなか本格的な結婚式だったと思う。

そして、誰もが目を見張ったのは、本日の主役でもある花嫁さんである。

白いウェディングドレスに身を包んだ雅巳は、直視する事が眩しくて出来ないほど美しかった。

それは加藤君のお友達たちも同じだったらしく、雅巳が現れると、ほぅーと溜息が洩れた。

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