君の声が聞こえる
だけど、一番雅巳の晴れの姿に感動したのは間違いなく、加藤君だろう。

いつもは毅然とした姿勢を保っている加藤君が雅巳を見て感激のあまり泣き出した時は、加藤君にも可愛いところがあるんだな~と、本人が聞いたらものすごく怒り出しそうな事を思ったりもした。


結婚式の後、雅巳が投げたブーケは私が受け取ったが、よく考えると私には相手もいないので、もらっても次に結婚するのが自分だとは考えにくかった。

それでも、とてもいい式だった。

お金をかけなくても、人の真心でいいものが出来るという事を思い知らされたような気がする。

派手ではなかったが、心に残る結婚式だった。

この結婚式のおかげで、今度こそ本当に私の中で加藤君の恋愛感情は友情へと形を変えたのだった。





私は毎日のように雅巳と加藤君の愛の巣にお邪魔させてもらっていた。

とは言っても加藤君のいない時を狙ってだ。一応、雅巳と加藤君は新婚さんなのだし、お邪魔するのは気が引けたからだ。

なんて、ちょっと大人ぶっても実のところを言えば、新婚で仲良い二人を見るのが嫌なだけなのだ。

一人身で相手すらいない寂しい私にすれば。
< 162 / 225 >

この作品をシェア

pagetop