君の声が聞こえる
 睦月と出会えて愛し合えた事。

私のような体でも赤ちゃんが出来た事。

どれも望んでも得る事が出来ないと諦めていたものでした。

 でも、その奇跡の裏に良枝の悲しみがあった事を私は知っていました。

良枝が睦月を好きだった事を、私は知っていたのよ。

 良枝、苦しかったでしょ?

それなのに、いつでも私と睦月の事を心配して力になってくれた事、私、一生忘れない。

本当に感謝しているわ。

 あなたがいなければ、私が幸せを感じる事はなかったと思う。

良枝、あなたがいたから私は幸せになれたのよ。本当にありがとう。

 私、死ぬのは怖くないの。強がりでなくて本心よ。

だって、この世界のどこを探したって、私みたいな幸せ者はいないもの。

世界で一番素晴らしい親友と世界で一番愛せる人。

そのどちらか一つでさえ望んでもなかなか得る事は出来ないのに、私は両方に出会えたのよ。

私の生きてきた時間は無駄じゃない。私の生きている時間は輝いているわ。

 私、あなたを愛しているの。

大切なあなたには幸せになって欲しい。私があなたの好きな人を奪っておいて言う事ではないかもしれないけれど、良枝には本当に好きになった人と幸せになって欲しいの。
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