君の声が聞こえる
家族

(by・睦月)

僕は良枝を大学病院内にある新生児室の保育器に案内した。

千八百五十二グラムで生まれてきた我が子は、こうやって改めてみると他の子に比べて大分小さい。

実を言うと僕自身、この子に会うのは雅巳の出産以来初めてだという事に気が付いていた。

勿論、雅巳のお通夜の事でいっぱいだったというのもある。

しかし、良枝に言われるまでこの子に会う気持ちにならなかったのは、親としての自覚がないと責められても仕方ない事だと思えた。

僕は怖かったのだ。自分の子であると同時に結果的に雅巳の寿命を縮める結果になってしまったこの子を愛せるかどうか自信がなかった。

「小さいね」

 良枝の言葉に僕は頷いた。

「猿みたいだろ?」

「そうかな……。私は雅巳に似ていると思うけど?ほら、鼻とか頬の感じとか」

 僕は良枝の言葉に沈黙した。

不意打ちに雅巳の名前を出された事で動揺してしまった。

目の奥がツーンとして泣きたいような気持ちになった。そんな僕の気持ちになんか気付かない鈍感な良枝は「この子の事抱っこしたいんだけど」などと言っている。

「それは……駄目じゃないかな……多分」
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