君の声が聞こえる
仕事が忙しくなってくると、いつもこうやって僕の頭は頭痛を訴え、休息を欲するのだが、今は休息なんてしている場合ではない。

 僕は『シバハラ』という地元の農機関係の会社で勤めている。

会社としては中堅どころで、僕はその会社の設計企画部門に所属していた。

一応肩書きは課長だが、農機類を設計する設計士でもあるため、常に仕事に追われている状況だった。

残業だって毎日、四時間はしている。

それでも注文に追いつかないのだ。

「課長、少し休まれた方が……」

 部下の気遣わしげな視線と口調が気に障った。

「大丈夫だと言っているだろう!」

 感情をぶつけるようにそう言い返した時、頭の中で何かが切れたような感覚がした。

 僕の意志とは関係なく、体か傾いてそのまま床に沈んだ。固い床の感触が僕の体を支配した。

「課長!」

 部下が僕に走り寄ってくるのがわかった。

「だい……じ……」

 大丈夫だ、と言おうとして口でさえ自分の思い通りに動かない事に気が付く。

 ちっとも大丈夫じゃない。

 僕は自分の滑稽な姿を思いながら意識の淵に沈んでいった。

ここはどこだろう。

 目を覚ました僕は自分が見覚えのない場所にいる事に気がついた。

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