君の声が聞こえる
　それが二度目の出会いだった。

　それから僕達は講義や教室で顔を合わすたびに、声を掛け合うような仲になった。

　もちろん「須藤」と「加藤」と呼び合う仲である。

　しかし、それ以上に発展することは全然ない。その元凶が今日も雅巳の隣を陣取っていた。雅巳にべったりと、くっついて、何やら懸命の雅巳に話しかけている。

その女の名前は秋山良枝といった。彼女のおかげで、雅巳は今まで彼氏と呼べる存在は出来なかっただろうと推測される。

狙っている男はたくさんいるのだろうが、良枝のガードはかなり固かった。

　良枝も十分、可愛い部類に入る容姿をしている。

しかし、いかんせん中身がお子ちゃま過ぎた。

　雅巳とは長い付き合いらしいが、まるで小学校の子供のように常に一緒に行動し、雅巳に近付く人間を排除しようとする。

親友を取られたくないという気持ちで突っ走る、まるで子供である。

確かにその気持ちも分からなくはない。特に、あの須藤雅巳という人間に対してそういう感情を持つのは、理解できる部分ではある。

しかし、大学生にもなってあのあからさまな態度はどうかと思う。

そして、もっと気に入らないのは、雅巳がそれを黙認している事だ。
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