君の声が聞こえる
このままでは僕は雅巳と今以上の関係になる事はできないだろう。つまりは友達止まり。

悪いけど、今の関係で満足する気はない。

もし僕に運命の人というのがいるとしたら、それは絶対に雅巳以外に考えられない。

初めて出会った時に感じたあの感情はもう他の誰にも感じる事は出来ないだろう。

そして、チャンスは意外に早くやってきた。

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あれからなかなか、雅巳に接触する機会もなく、悶々していたせいだろうか?

僕は激しい頭痛に襲われる事が多くなり、大学の帰りに大学の付属の病院にお世話になる事になった。

初診受付は十一時半までだということを聞いたので、一限しか講義のない日にS大病院を訪れた。大学病院にかかるのは初めての事なので、『診察申込書』に所要事項を記入して保険証を添えて、(初診受付)と書かれた二番窓口に出しに行く。

受付手続きが終わるまで外来受付ホールの椅子で、腰を下ろして待っていた僕の肩に誰かの手が置かれた。


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