君の声が聞こえる
「それにね。私、加藤と一緒にいると、すごく体の調子がいいの。だから今日も、もしかしたらって思って無理しちゃって……半田君が誘ってくれたからもあるだろうけど、私は大丈夫だろうって思ったの」

 僕は雅巳の口にした『半田』という名前に過剰反応してしまった。

「半田が誘ったから無理したのか?」

 つまり、雅巳がそれだけ半田の事を好きだということなのか?無理をせずにはいられないぐらいに?

 僕の言葉の意図に気付いた雅巳は首を振った。

「今まで私の事をそうやって試合に誘った人が誰もいなかったの。見学していても、その理由を聞かなくてもみんな心のどこかで納得している部分があるみたいな雰囲気があって……私もそんな空気に乗っかって誰にも自分の体の事を言わなかったから、半田君も何も知らないまま試合に誘ったんだと思うの。私も誰かに誘われたのが初めてだったから嬉しくなっちゃったのよ。それだけ。半田君が好きとかはないからね!」

 ムキになって半田への気持ちを否定する雅巳。

 半田との事を僕に誤解されたくないんだと思ってもいいのだろうか?

「須藤……俺、須藤の返事が聞きたいんだけど」

 好きと言った僕の気持ち。
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