君の声が聞こえる
 その美しさは目映いほどで、同性の私でさえ、一緒にいると胸が高鳴る事があった。

雅巳は、今まで我慢してきた想いをぶつけるかのように加藤君との時間を大切にしていた。

 以前よりも自分の体を気遣うようになったのは、たとえ一日でも長く加藤君と一緒に過ごす日々を多く重ねたいという想いの表れだったように思う。

 そして加藤君も雅巳といる事で日々、成長していったようだった。

 雅巳と加藤君に心の結びつきは、誰にも邪魔できないほど固く、そして強くなっていった。二人は魂の片割れを見つけたのだろう。

 そして、それは誰にも引き離す事はできない。

 悔しいけれど、雅巳と加藤君はとてもよく似合っている。

 私の大好きになった男性と大切な親友は、それこそちょっぴり恥ずかしくなる言葉だけれど、運命の恋人同士だったのかもしれない。

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 雅巳と加藤君が付き合いだして二つの季節が通り過ぎたある日。
 その日は雅巳の定期検診の日だった。

「今日、雅巳は定期検診で講義休むって言っていたよ。それで……もし良かったら、講義終わったあと、加藤君に付き合って欲しいところがあるの」


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