笑顔の咲く丘に
「いってきます」
そう小さく呟いて家を出る
わたしの家は母子家庭で、父親はいない
働かないくせに酒ばかり飲んでいた父に愛想を尽かせた母は父と離婚した
離婚したはずなのに父は時々わたし達の前に現れる
酒を飲む金が無いだの色々と理由を付けては金を渡すまで家に居座る
そんな父がわたしは嫌いだ
離婚した時、やっと厄介払い出来たと思ったのに次は金
まず、あんな男と結婚した母が分からない
いまさらどうだって良い話だけれど
一人歩いているわたしの目の前には綺麗な学校の門があった
『私立大賀学園高校』
ここだ…
わたしの他にも沢山いる生徒と共にその大きな門へ吸い込まれるように入っていく
体育科の生徒の方が多いこの学園では体育館までの道のりには色々あった
テニスコートにラグビー専用の球場
野球場やサッカー場などもあるらしい
そして芸術科の校舎は体育館のすぐ横にある