禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「…神楽が欲しいの。」



ポツリとつぶやいた言葉。



神楽の眉間には、深いシワが入ってて。



まるで、あたしを拒絶してるみたい。



ピクリとも動かない神楽。



いつもだったら、嫌味なくらいに命令するのに。



もう、あたしには用はなくなったの?



ポロポロと涙が出てきて。



止まらなくて。



バタンっ!!!



勢いよく書斎を飛び出した。



部屋に戻る気にもなれなくて。



そのまま、宮埜の家に走ってた。









< 105 / 341 >

この作品をシェア

pagetop