禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
■居候■
*************



宮埜は、相当慌ててた。



大泣きしながら、茶室に飛び込んだから。



人払いをすると、ため息混じりにお茶を立ててくれた。



「どうした?神楽と喧嘩でもしたか?」


「…いらなくなっちゃったみたい。」



お茶の苦さに、余計に涙が出てくる。



「そんなはずないだろ?」


「状況が変わったから。」



母親が現れたことから、宮埜の家に飛び込んでくるまでを説明して。



「じゃあ、しばらくここにいればいい。」



顔色も変えず、ニッコリと笑った。

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