禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「それだけ。」



冷たい言葉。



「それは良かった。一緒に暮らす気になってくれたのね。」



喜んだ声の感じ。



「違うから。」



あたしは、変わらず冷たく突き放してる。



「どうして?」



急に声のトーンが下がった。



「ダレが好き好んで、犯罪者と暮らすわけ?」



バタン!!



勢いよくスーツケースを閉じた。



立ち上がって、後ろを振り向くと、母親と目も合わせることもなく、部屋から出て行こうとした。



「せっかく、親子3人で暮らせると思ったのに…。」



ポツリとつぶやいた。



親子3人?



その言葉に引っかかって。



ピタリと足が止まった。

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