禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「違うの。…当時の彼は幼すぎたの。」
「意味が分からない。」
「地位や名誉もある家柄でね。私なんか、見ることすら出来ないような人だった。」
「バカバカしい。夢物語でも語って、あたしの情に訴えるつもり?」
「そんなんじゃないの。」
「何が違うの?アンタが見ることも出来ないような人間と、どうやったらあたしが出来るわけ?長い刑務所暮らしで、頭までおかしくなった?」
もう、呆れて笑うしかない。
「そうじゃないのよ。たった1度だけ会えたの。親戚の人が、茶道をやっててね。その人が、どうしてもお茶会に行けなくて。大事な席だからって頼まれて代理で行ったの。そこで彼に会ったのよ。」
「お茶会…?」
その言葉に、ピクリと眉間が動いた。
「意味が分からない。」
「地位や名誉もある家柄でね。私なんか、見ることすら出来ないような人だった。」
「バカバカしい。夢物語でも語って、あたしの情に訴えるつもり?」
「そんなんじゃないの。」
「何が違うの?アンタが見ることも出来ないような人間と、どうやったらあたしが出来るわけ?長い刑務所暮らしで、頭までおかしくなった?」
もう、呆れて笑うしかない。
「そうじゃないのよ。たった1度だけ会えたの。親戚の人が、茶道をやっててね。その人が、どうしてもお茶会に行けなくて。大事な席だからって頼まれて代理で行ったの。そこで彼に会ったのよ。」
「お茶会…?」
その言葉に、ピクリと眉間が動いた。