禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「そう。当時、彼はまだ中学生だった。私は20歳だったから、彼から声をかけられた時は、何も考えられないくらいの驚きで。その夜に過ちが起こっちゃったの。」


「…。」



考えても、言葉が出てこない。



お茶会…


当時、中学生。


地位や名誉もある家柄。



まさか…



「美緒を妊娠しましたなんて、言えるはずもなかった。連絡すら取れなかったし、一夜限りの夢だったから。」



あたしの返答なんか気にしてない。



1人喋りつづけてる。



頭の中で過(よ)ぎってるのは、宮埜の2週間後のお茶会までの約束。



そういえば…



いつもの宮埜だったら、お茶会があろうと期限なんか付ける人じゃない。



神楽のことで頭が一杯で、気づきもしなかった。



逆算すれば、あたしがお腹にいるときって…

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