禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
あたしが、珍しく電車で来たから周りはビックリしてたけど。



「どうしちゃったの?」



一番ビックリしてるのは、英里奈だった。



「ちょっとね…。」



複雑な家庭の事情なんて、あんまりバラしたくなくて。



そう言って笑った。



「ちょっとね…じゃないよ!!奏凛が電車通学なんて。神楽さんが、よく許してくれたね。」



目を丸くして。



興奮状態。



「あぁ…許してくれたって言うか?あぁ…飛び出したって言うか?」



言葉を探して答えてる。



「家出!?」



急に隣の席から、晴沢が口を出してきた。



晴沢の登場と図星に、あたしの体は固まっちゃった。


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