禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「どうしてって…。」



やっぱり殺人者なんて言えない。



「本当の母親だろ?嬉しくないのかよ。」


「うん。」



ハッキリと答えた。



「施設に預けたのだって、事情があったんだろ?母親だって辛い思いして施設に預けたんだから、もっと喜んであげろよ。」



「晴沢に、なにが分かるの?あんな人、母親なんかじゃない!!」


「ごめん…神楽さんには神楽さんの事情があるんだとは思う。でも、会いに来るくらい大事に思われてるんだって事だけ分かってやれよ。」



「分かりたくない。普通に育った晴沢には、分からないんだよ。」



キッ!!



晴沢をにらんだ。



「…オレさ、両親いないんだ。」



急に晴沢の表情が暗くなった。

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