禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「あたしには、本当の父親がいるって。」



いざとなったら、冗談で済ませられるよう、言葉を選んでたはずなのに。



いつの間にか、母親から言われた事を一気に全部話してた。



もしかしたら、宮埜かもしれないってことも。



静まりかえってた空気が、ピリッと棘を剥(む)き出した。



重たくて。



張り詰めた空気。



あたしが全てを話し終わると、重たい空気だけが部屋中に漂ってた。



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