禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「この場で申し上げる事ではないのですが…まずは、皆様に報告だけでもと思いまして。」



宮埜が見たこともないような真剣な顔をして、マイクを手に話し始めた。



ドクン

ドクン

ドクン

ドクン



ギュッと手を握り締めた。



「実は…結婚の報告を…」



そこまでしか耳に入らなかった。



やっぱり…



可笑しいくらい涙なんか出てこない。



「英里奈、大丈夫?」



うつむき泣き崩れそうな英里奈の事を心配する余裕まである。

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