禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
誰だろう?



夕飯の時間にしては早い。



窓の外の視線をドアに向けた。



「宮埜!?」



ビックリしたのは一瞬。



パチン



何かのスイッチが入るみたいに。



ダッダッダッダッ!!



勢いよく宮埜の目の前に駆け寄った。



「死んではいないみたいだな。」



普通の顔してる。



「どうして?ねぇ、どうして何も教えてくれなかったの?」



食って掛かるように、グッと宮埜の胸元を両手で掴みあげた。



「…ごめん。」



急に神妙な顔をしてうつむいた。



「ごめんて…それだけ?」



じんわりと目には涙が浮かんでくる。

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