禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
出てくる感情は、真っ黒なものばかり。



「最後まで諦めたくなかった。間違いだって信じたかった。そんな神楽の気持ちをムゲにして、勝手に全部は話せないだろ?」



「だからって…だからって…。」



聞きたい事がいっぱいなはずなのに。



頭の中が真っ白で、言葉が出てこない。



それでも、心の中は真っ黒なまま。



「家出してきた日は、確信なんてなかった。だから話せなかった。ただ、もし本当だったら、奏凛ちゃんとの関係を断ち切るために、結婚するって神楽の決断だった。それが、神楽からの最大の愛情だ。」



「最大の愛情!?」



あんな母親と結婚することが?

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