禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「違うって?」



鼻声になってるのに、大粒の涙は頬を伝うのを一旦停止した。



かろうじて、目に涙が溜まってて。



その目を大きく開いて、宮埜を見た。



「奏凛ちゃんが、ここに来た日からつけられてた日記。神楽から預かってるんだ…奏凛ちゃんの母親に見られないようにって。」



黒い表紙の手帳。



肩から掛けていたバッグの中から、7冊取り出した。



「これが何の関係があるの?」


「中身だよ。今まで、神楽がどんな思いで奏凛ちゃんと一緒に過ごしてきたか。そこに全部書いてある。今夜、読んでみるといいよ。」



「…分かった。」



納得はまだ出来ない。



渋々、返事をすることしか答えは出来ない。

< 168 / 341 >

この作品をシェア

pagetop