禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「英里奈のことでしょ!?」



半分笑いながら、宮埜の背中に問いかけた。



「バレたか?」



冗談だって分かる。



笑いながら振り向いたその顔で。



「まったく!!」



ため息混じりに、腕組みをした。



「それだけ笑えれば、少しは元気になってくれたね。」

「もう。」



呆れてる口調だけど、宮埜が凄く心配してくれてるのが分かったから。



なんか嬉しかった。



痛みを分かってくれるのは、たくさんいるんだって思えたから。



バタン…



ゆっくり閉まるドアを見ながら、嬉しくて涙が止まらなかった。










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