禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
いつも丁寧(ていねい)に神楽が整えてくれてたように。



神楽のぬくもりを確かめるように。



ゆっくりと…



愛(いと)おしむように…



鏡の中には、神楽の姿を思い浮かべて。



くしを置くと、ジッと鏡の中を見つめて。



神楽がキスをしてくれた事を思い出して。



チュッ…



神楽とキスをするかのように。



自分で髪にキスをした。



「ありがとう。」



ひとりつぶやいた。



まるで、神楽に話しかけるように。

< 182 / 341 >

この作品をシェア

pagetop