禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
■約束の場所■
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「何?話って…。」



茶室ってのが怪しくて。



躙り口(にじりぐち)で身を小さく固めて座ってる。



「なんで、そんな所にいるの?」



クスクスと笑ってる。



「だって、話なら帰る車の中でもできるし…茶室っていう所が怪しい。」



警戒心で、眉間がシワだらけ。



「あはははは。面白いこと言うね。」


「笑い事じゃなくて…。」



プックリとホッペを膨らませて、口を尖らせた。



「ゆっくり話がしたかったからだよ。」


「ゆっくりって?」



「これからのこと。」



少しずつ近づいてくる宮埜。


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