禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「うちの親からしてみれば、こんな美味しい物件ないだろ?」


「物件?」



「神楽の隠し子が高校生で、もうすぐ実子になりますなんて。」


「話ってそのこと?」



だから、茶室になんか呼んだの?



「まだ本題ではない。」


「じゃあ、早く本題に入って。」



ブスッと口を尖らせながら、キッと宮埜を睨んだ。



「焦らない。だから、ゆっくり話したいって言ったでしょ?」


「…だって、怖いんだもん。」



さっきの事もあるし。



今日は、久しぶりに外に出たから。


もしかしたら…神楽に会えるかも。


だから、早く家に帰りたいのに。

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