禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「あれ?奏凛ちゃん?」



宮埜がビックリした顔で、あたしを見てる。



「…来なかった。」



ポツリと一言。



「はっ!?」



驚いて固まってる。



「神楽は来なかったよ。」



ポツリ…



止まってたはずの涙が、ゆっくりと再び頬をつたい始めた。



「ウソだろ!?」


「仕事かと思ったけど…携帯も繋がらない。」



「アイツ…とりあえず、話聞くからオレの部屋に来い。」



何も考えられなくて。



宮埜の後を付いていった。


茶室から出ると、泣き腫らした目に太陽がしみる。

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