禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「来年には、当主になられるって噂ですよ?」
「いやいや。私なんか、まだまだ未熟者ですから。父も安心して譲れないでしょう。」
和やかに談笑してる。
茶道の関係者か。
家元も大変だ。
この女の人だけじゃない。
次々にいろんな人に声を掛けれて。
…神楽に会えない。
さっきまで、あんなに体が動かなかったのに。
動けないことに、もどかしさを感じてる。
早く神楽に会いたいよ。
それなのに…。