禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

「ごめん。待たせちゃって。」



そう言って、挨拶が終わった頃には、パーティの時間になってしまった。



「ふぅ~。」



深いため息をついて。



ガックリと肩を落とした。



それと同時に、会場内は拍手に包まれて。



久しぶりに神楽の姿を見た。



ゴクリと息を飲んで。



遠くに見える神楽の姿に。



涙が出ないように背筋を伸ばした。



会場の端同士。



きっと、ステージ上の神楽にはあたしの姿は見えてない。



こんなに人がいるんだもん。

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