禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
それでも、同じ場所にいれることだけが嬉しかった。
「本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。」
マイクを通した神楽の声。
スピーカーから聞こえてくるたびに、神楽がここにいるって実感できて。
もう、覚えてないくらいの日数を越えて。
あたしの耳に聞こえる神楽の声。
何回も何回も耳の奥でリピートされて響いてる。
泣かないって背筋を伸ばしたはずなのに。
耳の奥で神楽の声がリピートされるたびに、胸がギュウッと締め付けられて。
ポロポロと涙が溢れて止まらない。
「ごめん。」
宮埜にそれだけ言うと、慌てて会場から出た。