禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「か…ぐら?」
ゆっくりと口を開く。
「取るな。」
耳元で響くこの声。
やっぱり神楽だ!!
「どうして?まだ、パーティの途中でしょ!?」
「これは、あってはならない現実だから。」
優しく響く声に、背筋から電流が走ったみたいに痺れてく。
「どういうこと?」
「これは幻でしかないから。この髪に触れる指も…この体を抱きしめる感覚も…全てがひと時の幻でしかない。」
背中から感じる神楽の体温。
「どうして…。」
拒絶したはずなのに。
どうして…ここにいるの?
あたしに会いに来てくれたの?