禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

「か…ぐら?」



ゆっくりと口を開く。



「取るな。」



耳元で響くこの声。



やっぱり神楽だ!!



「どうして?まだ、パーティの途中でしょ!?」


「これは、あってはならない現実だから。」



優しく響く声に、背筋から電流が走ったみたいに痺れてく。



「どういうこと?」


「これは幻でしかないから。この髪に触れる指も…この体を抱きしめる感覚も…全てがひと時の幻でしかない。」



背中から感じる神楽の体温。



「どうして…。」



拒絶したはずなのに。



どうして…ここにいるの?


あたしに会いに来てくれたの?

< 259 / 341 >

この作品をシェア

pagetop