禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

…そんなわけない。



これは幻。



…なんて思えない。



神楽の体温が…



神楽の唇を伝って、ハッキリとあたしの唇が感じてる。



「どんなに排除しようとしても、お前が欲しくてたまらない。どんなに拒絶しても、会ってしまったら欲しくてたまらなくなった。」



抱きしめる腕が力強くなる。



「神楽…あたしだって…。」



同じだよ。



「これが幻でなくなったら、オレ達は罪なんだ。だから…。」


「罪でもいい…幻でもいい…神楽が欲しいよ!!」



報われなくてもいい。



ただ、離さないでいて。



今だけでも、しっかり抱きしめて!!

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