禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「これ、宮埜のネクタイでしょ?ありがとう。」
目隠し変わりに使われてたネクタイを差し出した。
「どういたしまして。」
その言葉だけ。
ネクタイのいきさつも。
神楽のことも。
何もお互い話さなかったし、聞きもしなかった。
あれは…
幻だったから。
そう思わないと、混乱してしまうから。
そのまま宮埜に送られて。
あたしは家に帰った。
何事もなかったみたいに。
いつもと変わらず、母親にも神楽にも会うこともなかった。
次の日、学校も普通に行って。
英里奈とたわいない話をしたり。
今までと何にも変わらない毎日がそこにはあった。
ただ…