禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

「夢?」

「そうよ。神楽も承知のことよ。」


ウソだ…。


「そんなの…ウソだよ。」

「ウソなんかじゃないから、この部屋は空っぽなんでしょ?」


どんな顔して、そんなことを言うの?


顔が上げられない。


分かってたはずなのに。


いつかは…


手放されるって。


それなのに。


あの日の幻が淡い期待を持たせてた。


こんなにも早く…


あたしを手放した。


神楽は…


簡単にあたしを手放した。


あたしの存在価値って…


その程度だったの?










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