禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
■空虚な心■
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どうやって宮埜の家に帰ったかなんて覚えてない。
神楽があたしを手放したって事実しか頭になくて。
「奏凛ちゃん?」
「ごめん…ここ、宮埜の部屋だったよね?」
いつの間にか宮埜が帰ってきてたんだ。
ボーっとしすぎて、気づかなかった。
「奏凛ちゃんも、空虚(くうきょ)なんだね。」
スッとあたしの手を取ると、強く抱きしめた。
「あたしもって…。」
「…ごめん。」
言葉に詰まってる宮埜。
その一言で、何が起こったか分かった。