禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~

あたしの存在は?


あたしを愛してくれたのは?


それまでも幻にするつもり?


「それで?」


こんなことになってるのに。


冷静な口調の自分がいる。


「留学してたことにするって。全ての手続きは済んでるからって。」


こんな急激に何もかもが激しく展開してる。


心がついていかない。


「宮埜はそれでいいの?」


それなのに、口だけ冷静に動いてる。


「…仕方ないだろ?」


そんな諦め切ったみたいな、悲しそうな顔しないで。


「仕方ない?そんな言葉で片付けられる程の気持ちで、英里奈を好きだったの?」


まるで、神楽にあたしとの気持ちを聞いてるみたいで。


こらえてたどす黒い気持ちが爆発した。


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