禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
「逃げれるわけないだろ?」
「弱虫!!」
まるで、神楽に投げつけてるみたい。
思いっきり叫んだ。
「いいか?神楽もオレも、何十人何百人何千人何万人って人間の生活を背負っているんだ。自分の感情で、そんな人達の生活を壊せない。路頭に迷わせるわけにはいかないんだ!!」
しっかりとあたしの肩を掴んで。
真剣な眼差しで目を見た。
「だからって、こんなのって…。」
「それがトップに立つ者。頼むから…。」
うつむいた宮埜の頬に、一滴の涙がつたい落ちた。
宮埜も苦しいんだ。
苦しくて苦しくて…。
それでも吐き出すことが出来なくて。
逃げ出すことも出来なくて。
自分の中で、納得するしかないんだ。
…こんな馬鹿げたこと。
全部、アイツのせいだ!!
スッと立ち上がると、勝手に走り出していた。