禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
■冷酷な運命■
************
息を切らせながら。
ただ走り続けた。
バタン!!!
大きな音をさせながら、リビングのドアを開けた。
「あら、忘れ物?」
少し驚いた顔をしながら、のん気にウェディングドレスのカタログを見ながら、母親がソファに座ってる。
「全部、アンタのせいよ!!!」
グッと母親の胸倉を掴みあげた。
「冗談言わないで。」
勝ち誇ったかのような口元の笑みが一層イラ立たせる。
「アンタのせいで、みんなグチャグチャになったんじゃない。今すぐ消えてよ!!」
「無理な相談ね。だいたい、宮埜さんの家だって、良家のお嬢様を探していたのよ?一般人の高校生が、所詮、遅かれ早かれ別れるんだから。早い方が、傷は浅くて済むでしょ?」
よく、笑って話せるよ。
人の気持ちを何だと思ってるわけ?