禁色の囚人~きんじきのとらわれびと~
無力な自分が悔しくて。



何にもできないのに。



ここに人として存在してる。



「あたしの存在価値って…?」



不意につぶやいてしまった。



「奏凛ちゃんの存在価値?」



少し困った顔をして。



隣に座ってた宮埜が答えた。



「あたしの存在価値。」



同じ言葉を繰り返すだけ。



答えが見つからないから。



その言葉しか出てこなくて。



「奏凛ちゃんの存在価値って言うより、存在意味だよね?」



何かを考えてる。

< 298 / 341 >

この作品をシェア

pagetop